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最高裁判所第三小法廷 昭和24年(新れ)481号 判決 1950年7月25日

主文

本件各上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人両名及原審相被告人飯野二郎の各負担とする。

理由

全被告人弁護人佐々野虎一の上告趣意は末尾添附別紙記載の通りでありこれに対する当裁判所の判断は次ぎの如くである。

最高裁判所に対する上告理由を如何に定めるかは審級制度の問題に外ならない。而してこの審級制度を如何にすべきかについて、憲法は第八一条において「最高裁判所は一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である」と定めて居る以外何ら規定するところがないから、此の点以外の審級制度は立法を以って適宜に之を定め得るものであることは当裁判所大法廷の夙に判例としたところである(昭和二二年(れ)第四三号、同二三年三月一〇日大法廷判決--集二巻三号一七五頁以下)従って、新刑訴が憲法違反の外は判例違反を理由とする場合に限り上告を申立てることができるものとして同法四一一条所定の場合を上告理由としなかったことは何ら憲法に違反するものと云うべきではない。刑訴四一一条を適用すべき事由は見当たらない。

被告人飯野二郎は上告を取り下げたから同人のみに関する訴訟費用についての論旨に対しては判断を記さない。なお被告人東稔から発送したかと思われる上告事由と題する書面が当裁判所に到達して居るが、これを被告人東稔の提出した上告趣意書と見ても刑訴四〇五条に該当する事由はない。

以上の理由により上告を理由なしとし刑訴四〇八条、一八一条第一項に従つて主文の如く判決する。

以上は当小法廷裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 穂積重遠)

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